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脳損傷 注目記事

ストレスで頭がはたらかない?それは○○活性化の症状かも


高次脳機能障害をお持ちの方で、職場などでストレスを受けると、うまく記憶ができなくなったり、判断力が急に落ちたと感じたり、そんな経験はないでしょうか?

数年前、うちの夫もそのようなことがありました。
交通事故で高次脳機能障害になってから10年近く、すでに症状は安定していて、少しずつですが改善もみられていた頃でした。

職場での人間関係によるストレスがつづき、最初は疲労やイライラなどよくあるストレス反応を示していたのですが、2週間すぎた頃から著しく記憶力が落ちていきました。それまでは、ゆっくりながらも回復傾向だったので、初めての後退に大きな不安を感じました。

さて、いまだったらこの理由がなんとなく見当がつきます。
それは、活性化されたミクログリア細胞による脳内炎症の悪化です。

脳損傷でミクログリア細胞がヤンキー化

脳に損傷を受けると、脳内のミクログリア細胞が活性化します。
「ミクログリア細胞の活性化」なんて言われても、ピンときませんよね。

ミクログリア細胞は、ふだんは脳の中の老廃物を回収する掃除屋の免疫細胞ですが、いったん刺激を受けて活性化すると、炎症性のサイトカインを放出するようになり、脳内炎症の原因の一つになります。そして、ヤンキーのように誰彼かまわず近くにいる細胞を攻撃するのです。

困ったことにいったん活性化してしまったミクログリア細胞は、もう二度ともとの従順な掃除屋に戻ることはありません。

つまり、脳損傷を経験した人の脳のなかでは、こんなヤンキーミクログリアと従順な掃除屋ミクログリアが共存しているのです。

[参照]

Priming the Inflammatory Pump of the CNS After Traumatic Brain Injury – PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26442695/

キレやすいヤンキー細胞

そんなヤンキー化したミクログリア細胞ですが、ふだんから素行がわるく、炎症性サイトカインを吐き出しては、脳内で炎症の炎がくすぶる原因をつくっています。これはこれで、周辺の脳細胞を傷つけるので、とてもやっかいです。

しかし、その行いが新たな症状として私たちを悩ませるのは、脳損傷後再び刺激を受けたときです。

ふだんだったらやり過ごせるような刺激でも過敏に反応し、大暴れして炎症性サイトカインをそれまで以上に放出します。まるで本当のヤンキーのように、ちょっとしたことですぐにキレる。

たとえば、ストレスや、睡眠不足、飲酒、感染症、頭部の打撲などをきっかけに、脳内で大暴れして脳内炎症を悪化させるのです。

それが私たちが感じる、記憶力や判断力の低下、うつ、怒りやすさなどの症状となってあらわれるのです。

だから、高次脳機能障害をもつ人は無理は禁物。

「以前と同じように働ける」、「同僚と同じように働ける」と思っても、脳内のヤンキー細胞の存在を忘れずに、うまくストレスや環境をコントロールしてくださいね。

人には人それぞれの働き方があります。
まわりの基準に合わせようと思わないで、自分なりの働き方をつくっていけるといいですね。