ウチコジ

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脳損傷 注目記事

ぽっちゃりボディとスッキリ脳は反比例


高次脳機能障害をもつ人は、脳内につねに炎症の火種を抱えている状態です。
(正確な言葉でいうなら、ミクログリア細胞が活性化された状態にあります)

この脳の火種が大火事にならないように、日々の生活で管理していくことが安定した生活・回復の鍵。

血糖値をコントロールしたり、
睡眠改善したり、
抗酸化対策したり。

そこで、今回の本題です。

「肥満は火種にガソリンをくべる」

脂肪細胞のメッセージ

最近の研究で、脂肪細胞は脂肪を貯めるだけでなく、ほかの細胞とコミュニケーションをとるアディポネクチンやアディポカインという物質を分泌していることがわかってきました。

「食欲おさえていいよー」とか、「ここに燃料がいっぱいあるよー」とか、そんなメッセージを発しているんですね。

そこまではいいですよね。
なるほど脂肪細胞も、体をよい状態に保つために、ほかの細胞と協働して動いているわけです。

脂肪細胞が炎症にガソリンをくべる

問題は、肥満体型の人の脂肪細胞は炎症性のアディポカインを分泌しているということです。(TNF-α、IL-1β、IL-6など)

炎症性アディポカイン、つまり、「火をつけろー」というメッセージを発している。言ってみればガソリンです。

[参照]

臨床化学 37:264-271, 2008
特集 Vol.37 No.3 脂肪細胞が分泌する生理活性物質炎症性アディポ カイン
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscc1971b/37/3/37_264/_pdf/-char/ja

ということは、
太っているだけで、脳内ではつねに火種にガソリンがくべられている状態...
体は重いし、脳もモヤがかかっているしで、これではふつうに暮らすのだって疲れるのがあたりまえ。

[参照]

Obesity and dementia: Adipokines interact with the brain – ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0924977X1400087X

Adipose-brain crosstalk: do adipokines have a role in neuroprotection?
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4625491/
(↑この論文が特によくまとまっていて面白い。Google日本語翻訳でも読めます。)

そういえばやせたときって、頭もスッキリした感覚ありませんか?
明るい気分になれたり、やりたいことがはっきり見えてきたり。それはやせたことで前向きになれたということだけが理由じゃないかもしれません。

脂肪が脳に入り込む

そして、肥満といえば、もう一つ関連してくるのが高脂肪食。

この場合の脂肪は、魚油やえごま油などの健康的な油ではなくて、肉やサラダ油などに含まれる飽和脂肪酸のことだと思ってください。

この飽和脂肪酸、当然、肥満のもとになりやすいだけでなく、なんと脳にも直接入り込むんです!

大切な器官である脳には、有害なものが入らないように特別なバリアがあります。このバリアは、体をめぐる血液と、脳の中を隔てるので、血液脳関門(Blood Brain Barrier)とよばれています。

しかし、実は脳の一部だけこのバリアがゆるい場所があります。

それが体の他の臓器とホルモンのやりとりをする視床下部周辺。糖や酸素だけでなく、体のさまざまなメッセージを伝えるホルモンもスムーズに通ってくれないと困るからです。

[参照]

The Design of Barriers in the Hypothalamus Allows the Median Eminence and the Arcuate Nucleus to Enjoy Private Milieus: The Former Opens to the Portal Blood and the Latter to the Cerebrospinal Fluid – PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20093161/

血液脳関門がゆるいところから、脳に脂肪が入りこむ!

すると、そこにいるミクログリア細胞(脳の免疫細胞)が刺激され、どんどん火種を大きくする。脳内の炎症を促進してしまうのです。

専門的なことがお好きな方のために、このメカニズムがまとまっている図を下の論文からちょっと拝借。

[参照]

Interglial Crosstalk in Obesity-Induced Hypothalamic Inflammation – PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30618568/

おいしいからついつい手が伸びちゃう揚げ物ですが、相応のリスクがあることを知ると、伸びた手もちょっと勢いを失うかも。

[参照]

JCI – Obesity is associated with hypothalamic injury in rodents and humans
https://www.jci.org/articles/view/59660

Cognitive Impairment Following High Fat Diet Consumption Is Associated With Brain Inflammation – PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20004026/

やっぱり健康的な食事、健康的な体重。
あまりに基本だけど、ただただ、これにつきる。

ちなみに体質改善をはじめてから、夫は15kg、私は10kg、自然に脂肪を落とせました。(二人で小学生一人分...)

生活も安定して、お互い明るい気持ちで過ごせているので、もしかしてこれも、脂肪細胞をおさえこんだ効果ですかね???

[参照]

脂肪、脂肪細胞と脳の相互作用については、ここ数年でおもしろい論文が山ほど出ています。ダイエットや生活習慣病にも関わる研究だから、研究資金も集めやすいのかな?これからも興味深い発見がどんどん出てくるかもしれません。

Hypothalamic Microglial Activation in Obesity: A Mini-Review – PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30524228/