ウチコジ

脳障害をもつ当事者と家族の心とからだの健康をつくる、健康・栄養情報 & ワークショップ

脳損傷 睡眠

脳損傷後の睡眠障害、まず疑いたいのは?


脳を損傷してから甘いものがとまらなくなった。
そんな経験はありませんか?

実は、損傷のある脳と、糖、そして睡眠には密接な関係があります。

脳出血、脳梗塞、脳挫傷などで脳が傷つくと、傷ついた組織を修復するため、そして、失った機能を埋め合わせるため、脳はそれまで以上に多くのエネルギーを必要とするようになります。

この損傷前とはちがうエネルギーの需要が、食べ方の変化としてあらわれたり、睡眠の質や量の変化となってあらわれたりするのです。

エネルギーと睡眠、いっけん無関係に思えるこのふたつの要素がどのように関わっているのか、それを理解すると、これまでの睡眠不足がちょっとした工夫で改善できるようになるかもしれません。

糖は血液を流れるエネルギー源

私たちの体の細胞はすべて、血液から糖をうけとりエネルギーを作りだしています。糖がとぎれると、細胞のはたらきもとぎれてしまう。そんな大事なエネルギー源なので、血中の糖の濃度(血糖値)はつねに丁寧に調整されています。そのあたりのことは、下の記事に書きましたのでよかったら読んでみてください。

上の記事のとおり、血糖は、「糖の銀行」である肝臓や筋肉に貯めたり、そこから引き出したりすることで、つねに一定の範囲内に調整されています

ところが、体の状態や、食事のタイミングによって、平常運転の調整では追いつかず、血糖値が基準値以下に下がってしまうことがあります。こうなると体は緊急運転モード(交感神経優位)に入ります。

血糖値が許容範囲以下に下がると、脳はアドレナリンコルチゾールといったホルモンを分泌するように体に命令します。アドレナリンやコルチゾールは「糖の銀行」からの引き出しを加速することにくわえ、筋肉や脂肪から糖を新たにつくりだすよう肝臓に命令をだし、血糖値を上げます。

この緊急運転モードである交感神経優位の状態こそが夜間覚醒のいちばんの原因なのです。

緊急時は寝ている場合じゃない

人間をふくめた哺乳類の体は、リラックス・メンテナンスモードである副交感神経とハイパフォーマンス戦闘モードである交感神経のおおむね2つのモードで調整されています。家族団らんでご飯を食べているときは副交感神経優位、ライバルと競っているときなどは交感神経優位ということですね。そして、睡眠中はというと、とうぜん副交感神経優位です。

ところが、寝ているあいだに血糖値が下がりすぎてしまうと、血糖値を上げるために交感神経優位になり、アドレナリンが分泌され心拍数は上がり、筋肉には力が入り、寝ていたはずの体は戦闘モードに入ります。

夜中目が覚めてしまったとき、

  • 手汗をかいていませんか?
  • 体はこわばっていませんか?
  • 食いしばりで顎がかたくなっていませんか?
  • 肩こり腰痛はありませんか?
  • どことなくそわそわしませんか?

これらはすべて交感神経優位になっているときにおこる症状です。

夜間覚醒をさけるための食事

このような夜間覚醒をともなう低血糖は、日中の食事のとり方に大きく影響をうけています。できるだけ血糖値の波を大きくしないよう意識して食事をとりましょう。

  • 炭水化物のどか食いをしない
  • 肉や野菜から先に食べる
  • 食間があくときには補食をとる
  • ジュース・炭酸飲料はやめてお茶や無糖炭酸水にかえる

などの基本的な食習慣がおおきな意味をもちます。

また、寝るまえに少量の炭水化物をお腹に入れておくことも、夜間覚醒の予防になります。安眠効果のあるカモミールティーに、はちみつや、黒砂糖、ココナッツオイルをたして飲むのもおすすめです。

脳損傷を経験している人の脳は、エネルギーの需要が以前とはちがっていることがあり、それが夜間覚醒をひきおこしている原因になっていることがあります。食事習慣と睡眠の関係をみなおしてみると、夜ぐっすり眠れるようになる手がかりがみつかるかもしれません。

ほかにも、寝る前のパソコンやスマホ、昼食以降のコーヒーなどを見直してみましょう。「ほんのちょっとのことじゃないか」と思うようなことが、意外と体には大きな影響をあたえていることはよくあります。