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睡眠 注目記事

睡眠不足が脳をよごすメカニズム


脳にも老廃物がたまる

体を使うと老廃物が出ることは、なんとなくイメージができます。
「筋肉を使うと疲労物質の乳酸がたまる」なんてよく聞きますよね。
(乳酸が疲労物質かどうかはおいといて)
細胞の代謝では、必要な物質もつくられれば、いらない物質や、有害な物質もつくられることもあります。

それは脳も同様です。

乳酸のほか、アルツハイマー病のもとになると言われるアミロイドβやタウタンパク質など、神経細胞の活動とともに、脳にも様々な老廃物がたまっていきます。そのままにしておくと、どんどん脳環境がわるくなり、最終的には認知症に

そんなことは絶対に避けたい!

体の老廃物の流し方

では、人の体は老廃物をどのようにとりのぞいているのでしょうか?
答えは、リンパ系です。

細胞から排出された老廃物は、静脈からリンパ管に入り、リンパ節や肝臓、腎臓で濾過されて処理されます。

体をめぐるリンパの流れ

脳はちがう?

ところが、

脳も同じだと思って安心してはいけません。

もう一度、上の図を見てください。
脳が描かれていないことに気づいた方はするどい!
脳の老廃物除去のメカニズムは、体のリンパ管のしくみとはまた少しちがうものなのです。

鍵をにぎるのが睡眠です。

縮んで流しだす脳

これまでリンパ管など存在しないと信じられてきた脳ですが…

2013年、ローチェスター大学のネーデルガード教授らによって、睡眠中脳を掃除するグリンパティック系のしくみが発見され、かなりセンセーショナルな話題となりました。

[参照]

Neuroscience. Garbage Truck of the Brain – PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23812703/

グリンパティックとは、単純におなじみ「リンパ系」と脳の「グリア細胞」をかけあわせたネーミングで、脳のリンパ系といったところ。

寝ている間、脳内のアストログリア細胞(アストロサイト)はなんと60%も縮みます。そうしてできた隙間のあいだを脳脊髄液が流れて、たまっていた老廃物を押し流すのです。

わたしたちは、寝ている間に毎日脳を洗濯していたんですね。

脳外傷とグリンパティック系

実はグリンパティック系に関しては、高次脳機能障害の人にとっては、聞き捨てならない研究があります。

脳外傷を受けると、その後1ヶ月以上グリンパティック系の働きが60%程度落ちるとのこと。それにより蓄積するタウタンパク質が、高次脳機能障害の人がその後認知症になるリスクが高い原因の一つではないかということです。

[参照]

Impairment of Glymphatic Pathway Function Promotes Tau Pathology After Traumatic Brain Injury – PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25471560/?from_term=glymphatic+60%25&from_size=20&from_pos=1

そういうことを知ると、睡眠の大切さが、なおのこと身にしみてわかりますね。
忙しいからって睡眠時間を削るなんて、怖くてできません。
しっかりと体調と環境をととのえて、睡眠の下地をつくりたいものです。

睡眠の下地のととのえかた、これからもどんどん書いていきたいと思います。