ウチコジ

脳障害をもつ当事者と家族の心とからだの健康をつくる、健康・栄養情報 & ワークショップ

脳の構造

ところでグリア細胞ってなに?


「グリア」はラテン語の糊(のり)を語源としています。ひと昔前は、グリア細胞には脳の構造を保つ糊のような役割しかないと考えられていました。

しかし、グリア細胞の幅広く、そして重要な役割がいまは理解されはじめています。高次脳機能障害のほか、うつ、ブレインフォグ、認知症などのさまざまな脳の症状をひきおこす脳内炎症にも深く関わっている細胞なのです。

脳の主役はニューロン?

これまでの脳科学ではニューロン(神経細胞)が脳機能の主役として考えられ、ニューロンばかりに研究の力が注がれてきました。いまようやくグリア細胞の働きが着目されるようになり、その研究が爆発的に進んでいます。

実はニューロンは脳にある細胞の10%にも満たない存在です。残りの90%はグリア細胞が占めているのです。

グリア細胞の仲間たち

いままでひとくくりにされ、脇役におしやられていたグリア細胞ですが、実はその働きや形態から大きく3つに分類することができます。

オリゴデンドロサイト

グリア細胞の大部分を占めるオリゴデンドロサイトですが、まだわかっていることはそれほど多くありません。

上の図はニューロンをあらわしています。細胞体から伸びる長い軸索をつらなって囲むのがミエリン(髄鞘。図では水色)。軸索の先端が次のニューロンに電気信号を神経伝達物質に変換して伝えるシナプスです。ミエリンがないと、ニューロンの電気信号は軸索をのろのろと進むしかありません。ミエリンのおかげで、電気信号がミエリンを飛び越えながら高速に滞りなく送られるのです。

オリゴデンドロサイト(図の赤丸内)は、このミエリンの形成に関わると言われています。

アストロサイト

図の赤い血管を抱え込んでいるのがアストロサイトです。ちなみに黄色はニューロン、水色はミエリンとオリゴデンドロサイトですね。

「アストロ」はラテン語で星の意味。血管やニューロンに伸びるたくさんの突起のある姿が、まるで星のように見えるところから名付けられました。

アストロサイトは見てわかる通り、脳の血管とニューロンの働きに密接に関わる役割をもっています。

脳の血管。それは脳の中と外を隔てるものであり、そしてエネルギーのもととなる酸素と糖を運ぶものです。アストロサイトは、脳の血管から異物から入り込まないようにする門番であり、血管を流れてきた酸素や糖をニューロンにわたす宅配屋でもあるのです。

そのほかにもニューロンのまわりのイオン濃度を調節したり、不要な神経伝達物質を掃除したり、まるでニューロンのマネージャーのように、ニューロンの身の回りのことをととのえてあげています。

こんなおもしろいお話があります。

アインシュタインが亡くなったとき、検死を担当した病理学者は、遺族に許可もとらず秘密裏にアインシュタインの脳を盗んでしまいました。「人類最高の天才の脳を研究せずに葬ることなんてできない!」と思ったんでしょうね。

研究してみてわかったことがいくつかありましたが、そのうちの一つがアストロサイトについてでした。

アインシュタインの脳は一般的な脳と比較して、アストロサイトの比率がずば抜けて高かったということです。それを聞いただけでも、アストロサイトの役割の重要性が想像できます。

ミクログリア細胞

ミクログリア細胞は、小さいながらも脳のなかを一生懸命動きまわり、老廃物や病原菌を発見しては飲み込む、脳の免疫細胞、つまりお掃除屋さんです。

しかし、怒らせると手のつけられない癇癪持ちのように、ミクログリア細胞も、いったん活性化されると脳内炎症の炎をひろげる困った存在に変身します。

しかし、これについては、話が長くなるのでまた別の記事で…

ミクログリア細胞の活性化については、下の記事でもふれています。
よかったら読んでみてください。