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からだの健康

栄養バランスのその前に、消化力は大丈夫?


いくら体にいい食事を毎日食べていても、もしそれを消化できていないのなら、それは手間ひまかけた栄養たっぷりの○○をトイレで出しているだけになってしまいます...

こんななんとも言えない序文からスタートいたしました今回は、「消化を理解して、からだの調子をととのえよう」がテーマです。

食事の栄養バランスにばっかり目がいって、それを吸収できるかどうかという視点がおざなりになっていませんか?栄養バランスももちろん大事だけど、その前に自分の消化力を知っておくこと、そして対策すること、これも体調管理のうえでは欠かせないポイントです。

消化力ってなに?

ひとくちに消化力といっても、実際はいくつもの臓器や消化酵素がチームプレイで食べ物を消化しています。

口だって消化器官

まずは、唾液咀嚼

唾液には消化酵素アミラーゼが含まれており、咀嚼することで食べ物と混ざり、でんぷんを分解します。唾液で消化している分、膵臓の負担がへるんですね。噛まずにどか食いをつづけていると、糖尿病にまっしぐらです。

咀嚼は、食べ物を細かくすることで、胃腸への負担も和らげています。

そして、噛んだ刺激は脳につたわり、インスリンが分泌され血糖値の上昇が抑えられます。満腹感もアップするので、無駄などか食いが減ります。

ちなみに、食前にガムをかむだけで食後の高血糖を抑えることができます。血糖値が気になっている人はためしてみてもいいかも。人工甘味料・添加物もりもりのガムよりは、昆布の方がよさそうですが。

血糖値をおさえたい理由は、ほかにいつかの記事で書いていますので、よかったら読んでみてください。

実はこのほかにも、咀嚼が脳の酸化ストレスをおさえるという研究もあります。ただ噛むだけでこんなに大きな恩恵がうけられるなら、今日からはぜひ一口ごとにお箸をおいて、ゆっくり食事をいただきたいものです。

[参照]

Biting reduces acute stress-induced oxidative stress in the rat hypothalamus – PubMed
咀嚼でラット視床下部の急性ストレス誘発性酸化ストレスが軽減
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15829107/

タンパク質とミネラルは胃が大事

口での咀嚼のあと、食道をとおりぬけると次に待っているのは胃です。

胃は、強力な酸性である胃酸と食べ物をかきまぜて、消化しやすいおかゆ状にします。そして、ここではペプシンという消化酵素が、タンパク質を分解します。

胃の健康に大きく影響をうける栄養素が、タンパク質とミネラルです。

胃酸の分泌が不十分だと、タンパク質の分解がうまくおこなわれず、せっかくいいお肉を食べても吸収されないまま通過し、大腸で悪玉菌のえさになってしまいます。おならが臭い人は、要注意。お肉を食べたあとのニオイのきついおなら、思いあたりませんか?

実は、胃酸の原料自体もタンパク質。だからタンパク質不足だと、タンパク質が吸収できないという悪循環に。この場合は食事にレモン水や梅干しを足して、胃酸をたすけてみてくださいね。

また、胃酸の低いphは、食材のなかのミネラルをイオン化し、小腸が吸収できるかたちに変える役割もあります。つまり胃酸がきちんと出ていない人は、一生懸命お肉や野菜を食べていても、ミネラル不足になりがち。

胃酸、大事ですね。だからこそ胃酸抑制剤はあまり気軽に飲みたくないお薬のひとつです。栄養吸収がわるくなるうえ、胃酸の殺菌力にたよれなくなるので、悪玉菌増殖のきっかけになったりもします。胃酸過多と胃酸不足の症状はよく似ているので、しっかり判別してくれるお医者さんにお世話になりたいところです。

縁の下の力持ち、膵臓

胃を通り抜けると、今度は十二指腸で、膵臓からの膵液と、肝臓からの胆汁がまざってきます。

膵臓はインスリンを分泌する、糖尿病にかかわる臓器というイメージがつよいかもしれません。でも、消化の強力な立役者でもあります。糖質も、タンパク質も、脂肪も、すべて分解する消化酵素をだしているのが膵臓です。膵液のアミラーゼは糖質を、トリプシンはタンパク質を、リパーゼは脂肪を分解します。

そして、わき役どころか主役級の存在感をもつのが肝臓の分泌する胆汁です。食べた脂を細かい粒子にして消化しやすくしてくれます。油ものを受けつけなくなった、揚げ物をたべると吐き気がするなんて方は、胆汁がちゃんと出ていないのかもしれません。

そんな方は水溶性食物繊維たっぷりの海藻類、きのこ類をふやしてみたり、タウリン豊富なホタテ、タコ、イカなどの海産物がおすすめです。

実は、胆汁は消化だけでなく、からだの代謝や免疫にまでかかわる重要なシグナル物質でもあるのですが、これを書くと長いのでまた別の機会に。胆汁のでかた次第で肥満防止になるよとだけ、いまは心にとめておきましょう。

消化は腸だけにあらず

こうしてさまざまな臓器や消化酵素のはたらきがあって、はじめて腸で吸収できるかたちになるんですね。

「消化っていったら腸でしょ」とついつい考えがちですが、それぞれの臓器のはたらきを知れば、じぶんの消化ぐあいを観察して対策することができます。

消化力を治せば、栄養が吸収できる!栄養が吸収できれば、からだがどんどん元気になる!お医者さんや、薬にたよらずとも、じぶんの体をじぶんでも治していけるとわかるとたのしいですよね。