ウチコジ

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脳の健康 ホルモン

かたづけホルモンと放出ホルモン [血糖値その2]


前回は、血糖値に注目する意味を説明しました。今回は、体が血糖値をコントロールするしくみについて、より深くみていきたいと思います。

前回の記事↓

健康診断で血液検査をすると、「空腹時血糖」という項目がたいてい含まれています。その名のとおり、あなたの空腹時の血糖値をあらわす数値です。

ん?「空腹時」ってことは前の食事から摂った糖の残りってこと?じゃあ、もっと時間がたてばもっと数値が下がるの?そんなことを思ったあなたは、なかなかいいとこついています。

いいえ、空腹時血糖は前の食事から摂った糖の残りではありません。そして、(通常は)時間がたった分だけ下がるものでもありません。ここに体の大事なしくみがかくれているのです。

なぜそうなるのか。その鍵をにぎるのが血糖値調節機能。糖の銀行と、糖のかたづけホルモン、糖の放出ホルモンがたもつ絶妙なバランスです。

体はどうやって血糖値をたもっている?

もし体に血糖値の調節機能がなく、食事から入ってくる糖にそのまま依存していたとしたら、食事のたびに血糖値は急上昇して血管を傷つけ、そして逆に、つぎの食事にありつける頃には糖を使い切ってしまいエネルギー枯渇状態になってしまいます。

毎日、こんなことを繰り返していたら大変です。穏やかに暮らすなんて夢のまた夢。食べてハイパーになっては、エネルギーがつきてグッタリを繰り返してしまいます。そこで、体には、食事と食事のあいだも血糖値を一定にたもつしくみがそなわっているのです。

糖の銀行

ひとつめの調節機能は、糖をためておくしくみ。いってみれば糖の銀行です。食事で入ってきたけどすぐに使われない糖は、そのまま血管を漂っていると血管を傷つけるもとになります。余分な糖は、いったん糖の銀行である筋肉や肝臓の細胞のなかにしまいこまれます。こうして必要なときにだけ、とりだせるようにしてあるのです。

ちなみに、糖の銀行からもあぶれてしまった分は、ご存知、脂肪へと変換されます。大事なエネルギー源をみすみす体外に排出するなんてこと、体はいたしません。幸か不幸か、口から入れたものは、しっかりと蓄えてくれるんですね…

かたづけホルモン

とはいえ、糖の銀行はただの入れ物です。いくら収納家具があったところで、かたづける人がいない家は散らかりっぱなし。体もまったく同じです。

それでは体内のかたづけやさんはだれかというと、それが糖のかたづけホルモン、インスリンです。糖が入ってきたと察知するととたんに分泌され、せっせと糖を細胞にしまってくれます。これで、体のいろいろな組織の細胞が糖をつかってエネルギーをつくれるようになり、食事で一時的に上がっていた血糖値も、適切な濃度まで下がるんですね。

放出ホルモン

さて、食事からだいぶ時間がたちました。食事から摂った糖は、そろそろ使い切ってしまいます。血液内をめぐるブドウ糖が減り、血糖値がだんだん下がってきました。このままでは体の細胞がエネルギー枯渇状態になってしまいます。

ここで登場するのが、糖の放出ホルモンです。糖の放出ホルモンは、かたづけホルモンとはちがって、いくつか種類があります。グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンなどなど。こんなに種類があるのは、それだけ低血糖の状態が命の危機に直接的につながるから。体はいくつもの防衛線をはっているわけです。

血糖値が低くなってきたことを察知すると、糖の放出ホルモンが分泌されます。すると今度は、銀行にためこんでいた糖を引き出して血流に放ち、血糖値を適切な値に上げるのです。

こうして、体のなかではいつでも適切な濃度で糖が各部の細胞にいきわたるように調節しているんですね。実はここらへんのお話は、ぜんぶ高校の生物学で習う範囲。「こんなのなんの役に立つの?」などと文句を言いながら、意義あることをたくさん勉強していたんですねー。いろんな意味で高校生にもどりたい!

今回は、体がどうやって血糖値をコントロールしているかをみてきました。次回はこれを知ったうえで、わたしたちの食生活がどのように血糖値に影響をあたえるか、食生活が心と体の安定にどのように関わっているかを深堀りしていきたいと思います。