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脳の健康 注目記事

脳メンテ、まずはなにより血糖値コントロール [血糖値その1]


私が初めて脳のメンテナンスについてのワークショップを開こうと思ったとき、最初のテーマとして選んだのが血糖値です。そして、いくら勉強して知識を得ても、脳の健康を考えるならやっぱり第一選択は変わらず血糖値。

高次脳機能障害などで、脳疲労やイライラ、怒り、不安などの感情発作がある人は、どんなことよりもまず血糖値を安定化させることが、一番簡単で、かつ効果が出やすい対策です。

血糖値をマスターするだけで、つきあっていかないといけないと思っていた感情発作や脳疲労などの症状を、緩和したり、コントロールできることが少なくありません。

そもそも血糖値って?

そもそも血糖値ってなんでしょう?
そうです、血液のなかをめぐるブドウ糖の量です。

なぜ血液内をブドウ糖がめぐっているのでしょうか?
いやいや、その前にブドウ糖ってそもそもなにって思いませんか?

ブドウ糖は、食べた炭水化物や糖分を消化してできた小さな糖の分子です。

ブドウ糖飴なんかも売ってますよね。消化しなくても最初から小さいブドウ飴のブドウ糖分子は、すぐに体に吸収されて、すみずみの細胞に運ばれます。すみやかなエネルギー補給ができるのが売り。とはいえ、急激に血糖値を上げてしまうので、血糖値の安定化の観点からは、×です。

では、ふだん意識することはありませんが、私たちのからだの動力源はなんでしょうか?脳が考え、心臓が脈打ち、肝臓が解毒するときの燃料はなんでしょう?

そうなんです。脳細胞も、心筋細胞も、肝臓の細胞も、みんな血中のブドウ糖を細胞内にとりこんで、それを燃料にエネルギーをつくりだし動いているのです。

その燃料がとだえては大変。そんなことがないように、血中にいつでも一定の濃度でブドウ糖が流通するように、体が調整しています。これが血糖値として測っているものの正体です。

濃度が薄すぎて燃料不足になっていないか、あるいは濃すぎて体を傷つけていないか、体の血糖調節機能に問題はないか、血糖値の数値からはそんなことがよみとれます。

脳と血糖値

ここで脳と血糖の関係に注目してみましょう。

脳は、体全体の2%の重さしかないのに20%以上のエネルギーを消費する大食らいです。さらに、脳は筋肉や肝臓などとちがい、ブドウ糖を貯めておくしくみをもっていません。だから、体のなかで一番血糖値の変動の影響を受けやすいのです。

低血糖になり、脳が燃料切れを起こすと、どんなことが起きると思いますか?

燃料たっぷりの元気な脳は、頭を自動的にめぐるさまざまな情動反応をきちんと品さだめしています。「イラッときたけど、勘違いかもしれない」とか、「ここで感情的になったら変に思われる」とか、そんなブレーキを働かせているのです。

一方、燃料切れの脳は、うまくブレーキをかけられなくなります。お昼ごはんを食べてから時間のたった夕方ごろ、怒りっぽくなる方はいらっしゃいませんか?血糖値が下がっていることが原因である可能性が濃厚です。

怒りっぽくなるなるほか、頭がぼーっとして判断力が低下したり、疲れてなにも手につかなくなったりすることもあります。これもおなじく脳の燃料切れの症状です。

実は、血糖値が下がると怒りっぽくなる理由は、もうひとつあります。血糖値を上げるためにアドレナリンが出ることが原因です。これについては長くなるのでまた別の機会に。

じゃあ甘いものが大事だね ← ちょっと待った!

大事なポイントととして、血糖値は、上げたいのではなく、安定させたいということを、絶対の絶対に、覚えておいてください!低血糖がイライラや疲れにつながるなら、お菓子やチョコレートをちょくちょくつまもうと思うのは大間違い。

甘いお菓子や、炭水化物のどか食いは、血糖値を急上昇させます。すると始まるのが、血糖値のジェットコースター。急上昇した血糖値は、体の調節作用を受けて次は急降下、大きな血糖値の波がジェットコースターのように繰り返されるようになってしまいます。目指すべき血糖値の安定化とは、真逆の方向に進んでしまいます。

肝心なのは、あたりまえですがバランスのよい食事。原則を理解すれば、けっしてむずかしいことではありません。血糖値を安定させる食事のしかたについても、また別の機会にくわしく書きますね。

[参照]

Hypoglycemia, functional brain failure, and brain death
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1838950/

The Effect of Acute Hypoglycemia on Brain Function
and Activation [PDF]
http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.628.2486&rep=rep1&type=pdf